しかし、狸は夜行性です。毎朝糞があります。その都度片付けていましたが、小鳥が毎日来て美味しい水を飲んだり、水浴びをする神聖な場所に、糞をたれるとは。水を飲んで行くだけならいいのですが。
お隣に見習って、「ここに入ってはダメですよ」と有刺鉄線で水場を囲いをしました。
それでも鉄線の前に糞をたれます。
毎日ホースで水場を掃除します。クレオソートとか木酢液をまくと効果があるとききましたが、水場ですので薬品はまけません。
昔映画の娯楽大作「大脱走」を思い出しました。バイクで逃げ回るスティーブマックイーンが、
ドイツ兵に追いかけられ、最後に無様な格好で有刺鉄線に絡まれ捕まりました。
こうなったら最後の手段です。捕獲するしかありません。有刺鉄線に細工をしました。
しかし翌朝、それでもあざ笑うように糞をたれています。
再度、細工を巧妙しました。
夜が明けて隣のご主人に連絡しました。
一晩中痛い思いをしたので、もう懲りてここには来ないだろうと思い、鉄棒で押さえ、絡まった鉄線をすべてペンチで切り、離しました。
一目散に去って行きました。
それ以来狸は来ません。きれいに水場を掃除して鉄線を外しましたが、又来るかもしれないと思い、しばらく一部残す事にしました。我が家で懲りた狸は、またお隣に移動したようで、「また糞をしに来ました」とご主人。
「鳥害・獣害こうして防ぐ」の本をネットで取り寄せ勉強し、お隣のご主人に「狸の編」のコピーを持って行きました。
翌日、本にあった木酢を使った撃退法を試されました。お隣りからメールが来ました。
昨日「木酢原液」を周囲にかけ、全面に「犬猫カット」の粒剤を撒いて今朝見に行きましたら、叉糞をたれていました。困ったものです。今日は再度有刺鉄線を張ろうかと思っています。 残念無念です。
しかし二日後、糞跡の土手のレジ袋が押し倒され一回転して後ろ向きになっていました。
そして元の位置にきちんと糞をたれていました。
今日、庭の落ち葉を掃いていると、何とバーベキューテーブルの下にも糞を発見。
気づかずにいると「ため糞」になるところでした。
皆で美味しくバーベキューを楽しむ場所に糞をするとは。
「自然との優しい共存」を唱える私も限度があります。
今日思い切って、貫に俄作りのダクトを突き込んで、10年目にして初めて火を入れいびり出す事にしました。
しかし反応はありませんでした。明日も燃やします。
ついでに芋でも焼きましょう。
これでもダメなら、天敵のワンちゃんのお出まししかないようです。
今日も作業中に倉庫の裏で「ヌチャッ」と糞を踏みました。頭にくる事しばしば。
「頼りなさそうだけどよろしく頼むよ」
狩猟鳥獣の狸について
本州以南にホンドタヌキ、北海道にはエゾタヌキが生息しています。水辺の森や下草のある林に棲み、
夜行性なのでめったに見かけませんが、人家が近い里山に多く、都市部の家屋などの床下などにもいます。
姿はメタボの固まりのようにズングリムックリでおまけに短足。イヌ科で嗅覚がするどく、
地面に顔をつけ匂いを嗅ぎながら、走るというよりも、ノコノコとはうように
歩きますので、時々車にはねられているのをよく見かけます。
雑食性で、ネズミ、ミミズ、昆虫、カエル、果物や
残飯等を食べ、家族で暮らし、春先に四〜五頭の子を産みます。
最後の手段。捕獲する事にしました。
前回は離してやりましたが、カラースプレーくらいでは懲りていないようです。
よほど居心地がいいのか、ますます活発に活動しています。毎夜庭のあちこちに穴を堀り、折角植えたビオラの苗をひっくり返しています。ミミズを探しているようですが、お隣の栗畑など穴だらけでひどいものです。おまけにお土産の糞。
これ以上居座ってもらっては困ります。
先日、狸と目を合わせた箇所に簡単なくくり罠を仕掛けました。投げ縄と同じ要領で、ステンレスの細いワイヤーで作りました。柵に罠をくくり付け外れないように固定します。50cmほど先に直径20cm程の輪をつくります。ちょうど顔が通り抜けて胴体で締まる仕掛けです。
通り道と思われるケモノミチに置きました。勿論罠を作る時も掛ける時も手袋をします。人間の匂いが付いていると警戒して寄り付きません。
やはり私の勝利でした。翌早朝、仕掛けた場所にタヌキが居ました。私が近づくと、もがいて逃げようとしますが、身動きがとれないようです。完全に罠が胴体を締め付けていました。
謝っているのか観念したのか、下を向いてグーグー言っていました。毛はきれいにそろっています。雄かメスか分かりませんが、丸まると肥ったメタボ狸でした。
すぐ裏の南外輪山に清水峠があります。
車で30分程のところですが、峠を越えると南に山都町(旧矢部町清和村)の原野が広がります。
ここは4年前に道路端に捨てられ、うずくまっていた白ウサギ(後の梅太郎物語)を拾った場所です。
捕獲した狸はこの原野に引っ越してもらいました。ここならトラック一杯大糞をたれても誰も文句は云いません。
もしもまだ残った狸が居たら順次ここに連れて来る事にしました。
この場所で、以前捨てられた飼いウサギを保護し、今年は野生の狸を自然に戻しました。
私はこの地に来て10年になりますが、「狸のため糞」騒動はかってない出来事でした。
今のところ一段落つきましたが、野生動物と人間とのかかわりは多面的な側面を持っています。
狸はイヌ科の動物。昔から人家の近くに居て、人とのかかわりがある動物で、ケモノ偏に里と書きます。
そのため農村の生産者は、野生動物による被害は生活を脅かされます。収穫間近のトウキビが狸に食い荒らされ全滅。
トウキビに限らず、野生動物による農産物の被害でも辛い思いをされています。
そのような経験がない都会の消費者と生産者とでは、野生動物に対する感情は全く違うものがあるように思いました。
私はその中間にあって、野生動物との共存は、言葉で云うよりも難しいものと身をもって体験し、
あらためて長い付き合いをしていかねばならないと感じました。
第二部とは大げさですが、その後の水場です。また別の狸と思われる狸が現れました。
「小鳥の水場」のページ「 狸の水場荒らし」をご覧下さい。